ENTER

  • MIESROHE ART PROJECT

  • FIRST INSTALLMENT:
    CERAMIC ARTIST NAMIKA NAKAI

  • 独創的な芸術と日常的なファッション。MIESROHEが着目するのは、ジャンルを超えた二つの世界による二重奏。両者のコラボレーションに生まれるのは違和感なのか、新しい価値観なのか。陶芸家・中井 波花氏と、プロジェクトは始まる。 [タップまたはスクロール] [タップ]

MIESROHE × NAMIKA NAKAI

1/23 2/23 3/23 4/23 5/23 6/23 7/23 8/23 9/23 10/23 11/23 12/23 13/23 14/23 15/23 16/23 17/23 18/23 19/23 20/23 21/23 22/23 23/23

Chapter1
ENCOUNTER

共感という名の引力に惹かれて

「強く、そして繊細」数年前、MIESROHEのディレクターである坂上は、アーティスト・中井波花氏の作品と出会い、心を奪われた。精悍な面持ちの中に香る儚さ。圧倒的な存在感に宿る軽やかさ。そんな不思議な振れ幅を纏ったアートピースを眺めているうちに、ふと、MIESROHEが追求する女性像と重なった。強い芯を持ちながら、たおやかであること。時代に敏感でありながら、必要以上に着ることを主張しないこと。肩肘を張って社会を生きぬく緊張感のあるスーツではなく、しなやかなシルエットを纏うこと。芸術とファッションという異分野でありながら、どこか親和性を感じずにはいられない。そう感じた坂上は、金沢にある中井氏のアトリエへと向かった。

Chapter2
PROCESS

ドキュメンタリーを眺めるように

中井氏の作品は、一般的に陶芸作品と聞くと連想する「器」の姿とはかけ離れている。底のない空洞、膜のような手捻りの薄い土、有機的に立ち上がったフォルムが特徴的だ。「はじめに木の板に下書きをし、土と釉薬を積み上げていきます。そうして出来上がった作品は1300度近い高温の窯で焼成されます。焼成方法に関しては作品を支えたり、炭化焼成という技法を用いるために、多い時には100個近いレンガを窯の中に組み上げ焼成を行います。」手でつくる造形、火のエネルギー、素材の性質..それぞれが作用し合い、「形」として成立しているのだ。

Chapter3
BEGINNING OF PRODUCTION

“Re”
Interpretation

概念を変える、再解釈をする

一つとして同じものはなく、一度目にすると忘れられない中井氏の作品。その根源にあるのは、陶芸素材の“再解釈”だ。一般的には耐水効果や色、質感をつけるために使われる釉薬を、土と同様、焼き物を構成する「素材」として造形の一部に捉え直した。
中井氏は語る。「作品がたわんでいたり、釉薬がぶくぶくと湧いていて器としては使えないものを見たとき、これこそがやきものの本質的な美しさだと思いました。」産業として発展してきたやきものの技術から見ると、改良の対象となる現象も、見方を変えるだけで、やきものにしかない個性として見いだすことができる。坂上は中井氏の言葉を聞き、創造のはじまりは概念を変えることなのだと、改めて痛感した。

Chapter4
AMBIVALENCE

hyo-Co- 2024
Clay, Cobalt, Glaze
23 x 26 x 13 cm
Uniqur

アート作品の画像
[+]

曖昧の先で出会える強さと美しさ

中井氏の作品は力強さと繊細さが共存するアンビバレントな美しさがある。「物事は白黒つけられることの方が少なく、それが物事の本質かもしれません。」と中井氏は語った。彼女の作品を見れば理解できる。歪みやヒビ割れといった、陶芸では蔑ろにされてしまう荒々しい表情も、彼女の解釈と技法によって美しさへ導かれ、本質へと焦点が合いはじめる。一見相反する「大胆な力強さ」と「繊細さ」が美しい姿で共存する実例として鑑賞者に本質の複雑さへの気付きと思考を促している。

Chapter5
CURIOSITY

構造やプロセスを追究する

意外にも大学では教育学部で心理学を専攻していたという中井氏。人の気持ちの動きを考えることに興味を持ち当時はカウンセラーの職を考えていた。陶芸の道を選ぶきっかけとなったのは、留学先のデンマークで美術学校に入学し、選んだ陶芸コース。その後、自らのルーツを活かしたクリエイションを望み、日本で陶芸を学んだ。「美術の基本的な知識や技法を知らず、好奇心で始めたのは良かったと思います。私が追究したかったのは「陶芸とは何か」。心理学でいえば、誰かの感情を知ることより、「感情とは何か」その構造を追究することに興味があったなと。考え方やアプローチは似ているのかもしれません。」掘り下げる、究める。それを日々繰り返しながら、中井氏は自分にしかできない陶芸と、自身の存在に理解を深めてきた。

Chapter6
NOSTALGIC MODERN

時を重ねることで深みを増すさま

時を経ても変わることのない価値あるデザイン。この感覚を、ものづくりでもいかしている。一時のトレンドに左右されるのではなく、過去から受け継がれるアートや空間、誰かの言葉を再解釈しながら服作りをしていること。MIESROHEというブランドが、その想いを大切にしながらユニバーサルデザインと程よいモード感を取り入れて立ち上げたブランドであるからだ。

Chapter7
COLLABORATION

曖昧な尺度を楽しむ余白を

この秋、MIESROHEではアートプロジェクトが始まる。その第一弾として、中井氏の作品からインスピレーションを受けてデザインしたワードローブが展開されることとなった。まず仕立てるのは、ジャガードのジャケット。糸を縦横無尽に織って複雑な柄を作る工程は、中井氏の手捻りによる層を連想させる。厚みがあり立体的に仕上がる生地の力強さと、緻密な柄が醸す繊細さが同居するアンビバレント性もまた、彼女の作品に通じる魅力だ。そして、着心地とサステナビリティを追究するMIESROHEのポリシーを反映させる。初めて袖を通した際も、不思議と肌なじみを感じる一着になるだろう。このコラボレーションを通して、女性たちが服を纏うほどに自分らしさを再解釈し、深みのある個性に気づけることを願っている。

MIESROHE × NAMIKA NAKAI
HANKYU UMEDA
POPUP & PRODUCTS

DETAIL
アート作品のズーム画像
[−]